【2001年8月号】

20世妃の前半を潜ってきた身にとっては、まい年、夏になると鬱陶し
くてかないません。それは梅雨や猛暑のせいばかりではありません。

今月のロータリーの友は、表紙はみどりに囲まれた沖縄今帰仁城跡から
の、青い海と白い夏雲を望んだ美しい風景ですが、中味の巻頭は「歴史を
直視し学ぶ」という、辺見じゅん女史の2710地区大会の記念講演です。女
史が紹介している冒頭の言葉は、大和に乗り組んでいた十八歳の少年兵が、
沖縄に向かって特攻出撃する際に、遺書のつもりで故郷の父母に送ったエ
ンピツ書きの葉書の文面です。

その頃、“ますらをが悲しき命積みかさね積みかさね守る大和島根を”
という和歌がありましたが、若者は皆それが己れの宿命だと観念していま
した。ドイツ語で「シックザール」などと自嘲的に洒落れのめして・・。

予科練に行って特攻隊に編入させられた中学の友人が言っていましたが、
隊の編成は4機ペアで、隊長機は予備学生の士官、列機は予科練の下士官、
つまりは大学生と中学生が飛行服を着て、奈落に落ちかけた母国を支えよ
うとボランティアをとていたのだナア、と感慨ぶかげでした。

歴史を学ぶということは、歴史を思い出すことだと言った人がいます。
事の善し悪しはともかくとして、当時の若者は、公のためには嫌なことに
も目をっぶって「義勇公に奉ず」ることを宿命と観念していたことを今の
人達にも想像してもらいたいと思います。