【2001年10月号】

【「らしかれ」ということ】
学生だった私が、帰省したとき風邪をひき、母親が寝台車で帰そうとしたら、父親が怒って母子ともども叱責されました。親父は、自分で稼ぐようになったら寝台車でも一等車でも乗ればよいと言うのです。
また、大島つむぎの丹前を準備して私に持たせようとしたら、それも怒られていました。学生の分際でと、その面では厳しかった。
座談会「感性ということ……新世代の人作リ」
坂本 PG

中学の数学の時間で、のちにナンシ一大学の数学教授になった級長の
T 君が、練習問題を万年筆で スラスラと解いているのを見て、カッコイイと
思い真似をしてやろうと試みてみたところ、とても スラスラ とはいかなく
て、鉛筆とは違って消しゴムを使って書き直す訳にいかず、何とも キタナ
イ答案になってしまった。
廻ってきた数学教師は私のところで立ち止まり 「 ちょっと万年筆を見せ
てみろ 」 と言い、 ぺリカン だなと確かめてから「お前には未だ勿体ない、
上の学校に入るまで大事に取って置け」と叱られた。それは、豊橋に住ん
でいた伯父が 『お前も一中に合格したか』 と言ってお祝いにくれたペンだ
った。
海軍の技術屋だった義兄が「海軍初級士官心得」という冊子を見せてく
れたことがあった。その中に 「 らしかれ 」 という訓えがあった。兵でも下
士官でもなく、ましてや提督でもない初級士官は常にそれラシク振る舞え
ということを懇切に説いている。
髪は毎日剃れ、カラーは毎日新しいものに替えろ、士官服を着て外へ出
たらセカセカ走るな、殊に食い物に向かって走ってはならぬ、電車に乗る
時は濡れたマントは脱いで内側にたため、他人に迷惑がかかる・・・。
すなはち格言 『 ロータリアンはロータリアンらしかれ 』